緑色の詩神

Posted by sayaca on 01 January, 2017
Category お酒うんちく記



先日のCocktail Storyでお話しました、”ブラック・サンブーカ”。
当店には誰の好みか、このほかにも、薬草・香草(ハーブ)系のリキュールが意外と色々ございます。

ハーブ系というと、代表的な(話題性がある)リキュールが「アブサン」と呼ばれるもの。
現在では「ペルノ」という代名詞的な(本来は代替品でした)リキュールの方がカクテルには使われていますが、その昔、中世の偉大な芸術家たちを快楽と苦しみに陥れ発禁にまでなった「緑の魔女」、その「アブサン」について今日はお話しましょうか。

1730年にフランスの医師によって作られたのが元で、主体となるのはニガヨモギ、アニス、ウイキョウなどの香草類です。
現在ではフランスはもちろんスイス、チェコ、様々なヨーロッパの国で作られています。

1840年頃からフランスで大流行、ゴッホやピカソ、ロートレック、モネなど名だたる芸術家達が虜となり、アブサンを題材とした作品も残しています。
彼らはアブサンを「緑色の詩神」と呼び、溺れ、身を滅ぼしていきました。(※1)



というのも、アブサンにはその主体となるニガヨモギに含まれるツヨンという成分が、大麻と同じような中毒性(幻覚作用など)があり、当時多くのアブサン中毒の人々はかなり大量に摂取していたようです。
例えば画家のゴッホはそれによる錯乱状態で自らの耳を切り落としたなど、逸話もあります。

現在は、WHOがツヨン残存許容量が10ppm以下のものでないと承認しないため、日本で飲めるアブサンは幻覚症状が出ることも無いのでご安心を・・・

また、アブサンを使ったカクテルは当店では「ペルノ」を使用していますが、「ヨコハマ」「アースクエーク」「午後の死」など、ヨコハマ以外はあまり知られていないようなものが多く、オーダーを頂く事も殆どありませんが、このリキュールは水割りにすると、白く濁ります。それは一瞬マジックのようでもあるので、楽しむ価値はあると思います(※2)。

とはいえ・・・やはり好みがきっぱりと分かれるお酒ですから・・・アシカラズ。



(※1)ツヨンによる幻覚症状等の精神的ダメージよりも、当時の粗悪なアルコールによる、現在で言うアルコール中毒(依存症)による脳や内臓へのダメージなどが大きいとされています。

(※2)これは溶剤であるアルコールの濃度が水によって低下し、 不安定になった精油成分がその周囲に膜を形成し、 微粒子状になって、入射光を乱反射するためであると言われます。(難しくてなんのこっちゃ)




 



秩父蒸留所見学 第4話

Posted by sayaca on 01 January, 2017
Category お酒うんちく記

buona sera, ミナサマ。


秩父蒸留所見学から早、半月が過ぎました・・・
今日もまた、あの日のような晴天。
私の中で、とても非日常的な、蒸留所での数時間でした。

そして今回が最終話!(きっと。)


天使に分け前を与えながらウイスキーが眠る熟成庫では、「樽」に関するイチローさんの講義をしっかりと学びました。

そこで感動したのが・・・
『蒸留所が稼動してからまだ5年、これから数年後、十年後・・・・と、この秩父の環境でウイスキーがどのように熟成して行くか、それにはどんな(材質の)樽が良いのかは実験しているところです』
これは、熟成庫でありとあらゆる種類の樽(シェリー樽、バーボン樽、ミズナラ樽etc..)でウイスキーを熟成させていることに対してのお話でしたが、ウイスキー作りを生涯かけてやろうというイチローさんの揺るがない精神のようなものを感じました、わたし。きっとそこにいた参加者の皆さんもきっと。




そして、最後にイチローズ・モルトのテイスティングです。
テイスティングルームでもあり、事務所兼サンプリングもところ狭しと置いてあり、まるでラボのようでした^^


WWA(world whisky aword)受賞の記しです。蒸留所の歴史からすれば既に凄い受賞歴です!



テイスティングさせて頂けたのは、これまでに発売されたあらゆるイチローズモルトが余すところ無く。これも感動。勉強させて頂きました。


最後に・・・



「マリッジタンク」(通常の熟成樽とは異なります)というタンクですが、フレンチオーク材のこの卵型は世界で7社しか持っていないとのことです。こりゃ~レア過ぎます!というわけでちゃっかり撮ってもらいました。




参加者の皆さん(PBO千葉県支部メンバー、ビジターの方)と肥土伊知郎さんと。

イチローさん、また、秩父に伺います!



という訳で、見学記全4話は終了です。

長いところ、ご覧くださいましてありがとうございました^^






 



秩父蒸留所見学 第3話

Posted by sayaca on 01 January, 2017
Category お酒うんちく記

buona. sera, ミナサマ。

先週やっぱり終わらなかった、秩父蒸留所見学の続きをお話したいと思います。


蒸留の過程から始めましょうか。

”ポットスチル”という言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思いますが、これは大麦麦芽を糖化させ酵母と混ぜて発酵し、モロミ(ウォッシュ)となったものを加熱し、アルコールと香味成分を凝縮させる機械=蒸留器で、更にモルトウイスキーを造る際には特に銅製のポットスチル(単式蒸留器)を使うのが大昔から現在も変わらない製法です。

上の写真が、イチローさんのポットスチルですが、スコットランドの蒸留器メーカーに特注でオーダーしたものとのこと。ポットスチルの様々な部分の形如何で、出来上がるウイスキーの味に大きく影響するのです!


そして蒸留後の原酒は樽に詰められ、熟成庫へ・・・



ちょっと暗い画像ですが、この熟成庫の環境こそ土地風土によって様々であり、ここで数年~数十年と眠るウイスキーたちに少しづつ、影響を及ぼしていく訳ですね。

”エンジェル・シェア”という言葉をご存じでしょうか?今年、そんなタイトルの映画も上映されました。アイラ島のモルトが出てくるお話でしたが実はまだ、観ていませんので年内には。


和訳すると天使の分け前という意味で、熟成中、蒸散によって1年に2~3%ほど原酒が減少していくことを言います。
「天使が飲んだ分だけ、ウイスキーが美味しくなる」とも言われます。
天使に分け前を与えながら、透明の原酒が琥珀色へと変化していくのですね・・・・
なんとも素敵な表現だな~と思います。




第4話 へ続く。


 



秩父蒸留所見学 第2話

Posted by sayaca on 01 January, 2017
Category お酒うんちく記

buona sera ミナサマ。

昨日の雨空から一転、今日はいいお天気で、先日の秩父蒸留所見学の日をまた思い出す陽気です^^

実は当日秩父蒸留所にはオーナーの肥土伊知郎氏と、スコットランドに渡り蒸留所に勤めもされていた、吉川さんという女性!の方おられて、先月秋葉原で行われた「Modern Malt Whisky Market2013」という来場者1300人を記録したウイスキーの一大イベントでも、その吉川さんが秩父蒸留所のブランドアンバサダーとしてプレゼンされるなど、同じ女性として桁違いのご活躍(苦笑)に惚れ惚れとしているワタクシです。
控えめな佇まいと、芯のしっかりとした凛とした美しい方で、スコットランドで修行された経緯など、自分にとっては羨ましさもあり、勉強の足りなさを痛感したり、そんな思いもあった今回ですが、

そろそろ秩父蒸留所の中を見てみましょうネ。^^

まずは、ウイスキーをつくる工程で最初に行われる、原料の大麦麦芽の粉砕から始まりました。
これは大麦を浸麦⇒発芽⇒乾燥させたもので、スコットランドからとりよせたものを使いますが、イチローさんは試験的に、秩父市内の蕎麦農家でこの麦芽を作ってもらっていて、将来的にはそれを使えれば、とおっしゃていました。



イチローさんの足元が大麦麦芽。
適正な比率で粉砕する必要があり、麦の種類や時期によって状態も変わるし、それがウイスキーの味に影響されるとのこと。

ここでその3タイプの麦をみせて頂き、実際口にしてみました^^
ピートの利いた大麦美味しかった(笑)

次に粉砕された麦芽をお湯でろ過していきます。


次に画像の木製の発酵槽(ウォッシュバック)でろ過した麦汁に酵母をいれ発酵させていきます。


上から中を見せて頂けました!

この製造棟(スチルハウスとも)に入った瞬間、ビール工場で嗅いだ麦汁よりももっと甘い、甘酒のような香りが充満していたのは、このウォッシュバックから発酵している香りであり、なんとも非日常的な、幸せな空間でありました。。



そして発酵後、イチローさんがスコットランドのフォーサイス社にオーダーメイドで特注の蒸留器(ポットスチル)にて、蒸留開始です!

第3話へ続く・・・^^




 



自然の神秘・アイラモルト

Posted by sayaca on 01 January, 2017
Category お酒うんちく記


中毒性のある味わいですから、ほどほどに・・・

~シングルモルト蒸留所紀行No.6 「ボウモア蒸留所inアイラ島」~


アイラのモルトウイスキーを初めてお飲みになるお客様からは必ずと言っていいほど、
「消毒液のニオイがする」という類の感想を言われ、ニンマリしてしまうのは私だけでしょうか。

アイラ島のウイスキーは殆どが、ウイスキーを作る工程で、麦芽を乾燥させる際、ピート(泥炭)を焚きつけて薫香をつけ、スモーキーなフレーバーを生み出しています。


このピートの中にこのアイラ島のシングルモルトの神秘があります。(※1)
スコットランド西南、人口約3500人ほどのアイラ島。


この島のウイスキーにはまってしまうと、「この癖がないと物足りないんだ!」というお客さまを我々バーテンダーはよくお見かけしていますよね。(ピート中毒とも言う。)


今日ご紹介する「ボウモア蒸留所」は、アイラ島のモルトの中でも一番中間的なキャラクターであり、ベストバランスな味わいは、当店でもアイラ・モルトといえば、まずはこのボウモアからオススメしております。

ボウモアの創業はアイラ島では最古の1779年。、現存するスコットランドの蒸留所の中でも、1775年創業のグレンタレットに次いで2番目に古い蒸留所です。

また、ボウモアは現在でも伝統的な製法を受け継ぎ、今日でもフロアモルティングを行っている数少ない蒸留所の一つです。また特筆すべきは、フロアモルティングで製麦した自家製麦芽の使用率が、他のどの蒸留所よりも高い点でしょう。(※2)

また、ボウモア蒸留所の樽の熟成庫は一部が海面より下に位置しているため、その風味にはかすかに潮風や海草の香りを感じます。



以下、補足ですのでご興味のある方はお読みくださいネ。

(※1)・・・ピート=泥炭は低温地帯の沼地で植物が枯れた後、十分分解されずに堆積して形成されるもの。スコットランドに多い。
アイラ島の泥炭は海藻が中心で、そこに含まれるヨード分が残って消毒薬のようなヨード香を発しているそうです。

(※2)・・・フロア・モルティングとはウイスキーの原料の大麦を発芽させ、麦芽にするときに使用される製法の一つです。
コンクリート製の床に浸麦した大麦を薄く広げて発芽させる方法で、発芽を均等に行うために温度管理が必要で、酸素供給をするために職人が4時間間隔くらいで木製のスコップを使って大麦を均等に混ぜ合わせます
。この伝統的な方法は以前はどこの蒸留所でも行われていましたが、今はスコットランド中でも6つの蒸留所で行われているだけとか。
現在では、ほとんどの蒸留所は製麦業者から直接麦芽を買っています。このほうが製造コストが安く済むからです。しかし、この伝統の方法を守り続けていく蒸留所はこれからもあり続けるでしょう。

 



楽園・・・カクテル話

Posted by sayaca on 01 January, 2017
Category お酒うんちく記



~Cocktail story No,41~


尊敬する名バーテンダーの上田さんの著書曰く「爽やかに甘くフルーティで心弾む楽園の味」と表現されている、春らしいカクテルの一つ、『パラダイス』。
楽園とイメージするとおりの明るい色合いに、アプリコット・ブランデーの芳醇な香りとオレンジジュースのフルーティな味わいです。

ジンがベースとなっていますが、アプリコット・ブランデーを抜かしオレンジ・ジュースと2種類で仕上げると、『オレンジ・ブロッサム』となり、オレンジの花言葉が”純潔”という意味のあることから結婚式のアペリティフとしてとっておきのカクテルの一つでもあります。

戦後直後古くからバーテンダーとして現在もご健在で尊敬するお方、福島勇三さんの”カクテル・バイブル”には、昭和25年米人中尉のパーティにて振舞った、「思い出深い3つのカクテル」の一つとして記されています。

シンプルで華やかさもある、このふたつのカクテル、今宵の1杯にいかがですか?